「あのお客ホント何なの?!」
あなたはクレーム対応でイヤな気持ちになったことがありますか?
スタッフ
「そんなの常識でしょ!?」と言ってくる人が多くて困っています…
仮にクレームをチャンスに変える具体的かつ簡単な方法があるとしたら、あなたはそれを知って実践してみたいと思いますか?
本記事では、クレームがなぜチャンスになるのかという理屈と、実際に何をすればいいのかについてご紹介します。
クレームをチャンスに変えられる人は相当な地位が約束されています。こういう人を責任者に置きたくない経営者は世界に1人もいないからです。
もしあなたがクレーマーに商品やサービスを買わせることができるようになったら、伝説のセールスパーソンとしてチヤホヤされるはずです!
パン
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目次
そもそもクレーマーとは?
まずは「クレーマーって何?」という定義の話から始めますね。
クレーマーってどんな人?
結論から言うと、クレーマーとは「お客側に非があるのに文句を言ってくる人」のことです。
仮に企業側に問題があるなら謝罪して返金するしかないですよね。販売する以上は品質保証の義務がありますから。
この場合、お客側はクレーマーではなく「債権者」です。
もし新品のスマホが壊れていたら、
- お客側は返品・交換を要求する権利がある(債権者)
- 企業側はそれに応じる義務がある(債務者)
ということです。
支払った金額に相当する価値を受け取る権利がある人を「クレーマー」と呼ぶのは不自然ですよね。
なぜクレーマーになるのか?
クレーマーの共通点は「怒り」です。
怒っているから文句を言ってくるわけですね。
では何に怒っているのか?
ズバリ「買ったはずの価値を受け取れていない現状」と、
「価値を受け取れるように協力してくれないスタッフ」に対してです。
スマホを買ったのは大好きなスポーツのライブ配信を見るためなのに、Wi-Fiの接続方法がわからなくて視聴できない。でも購入元はひたすら「それはご自分で何とかしてください」と言って取り合ってくれない。
クレーマーは大なり小なりコレと似た状況に陥っています。
すべてのクレームに共通する真意は「私が価値を受け取れるように何とかしろ!」なんです。
クレーム対応が難しい理由とは?
お客側の「何とかしてほしい」を解決すればクレーマーにはなりません。むしろ「解決しました。ありがとうございます」とお礼を言われるはずです。
にもかかわらずクレーム対応が難しいのはなぜでしょうか?
何とかしてあげたくても「できない」ケースが多いからです。
コンプライアンス・業務内容・営業時間といったルールを超えることは通常許されません。スタッフが親切心で特別対応すると上司に怒られるか最悪クビになることも。許されるのは「そういった裁量が最初から許されている企業」の時だけなんですね。
つまり、お客側のお困りごとを解決しないまま納得と了解を得なければならないということ。対応を間違えるとお客は「裏切られた・騙された」と感じるでしょう。これがクレーム対応の難しいところです。
クレーマーに商品を買わせることは可能か?
本記事の主題は「クレーマーに商品を買っていただく」です。怒りの声を小さくさせるだけでも難しいのに、追加購入していただくことは可能でしょうか?
実は可能です。意外に思われると思いますが、むしろクレーマーが1番売りやすいです!
その理屈と方法を紹介しますね。
クレーマーの心理「バツが悪い」
結論から言うと、クレーマーの「バツの悪さ」が大チャンスに変わります!
クレーマーの心理をなぞってみましょう。
ぼくがまだ園児だった頃、祖母に光る剣のおもちゃを買ってもらいました。ところが…家で開封してさっそく遊ぼうとしたら光らなくて大泣きしたんですね。
この時のぼくは悲しいのではなく怒っていました。楽しみが奪われたからですね。期待しているほど、実現しなかったときのショックは大きくなります。
でもいくら泣き叫んでも祖母はどうすることもできません。おもちゃの知識なんてないからです。
するとタイミングの良いことに、近所のおじさんが何かの用で家に来て、おもちゃをサッと直してくれたんですね。何の問題もなく光りました。
おもちゃ(剣)はなぜ光らなかったのか?
実は電池のプラスとマイナスが逆だっただけでした。
その電池は誰が入れたのか?
…ぼくです。
泣き叫んだ分いたたまれない気持ちになったものです。つまりバツの悪い感じがしたわけです。
この「バツの悪さ」が別の商品・サービスを購入してもらう絶好のチャンスなんですね。
なぜなら以下の心理状態に陥るからです。
- 自分に非があったのに声を荒げた事実を誤魔化したい
- 相手に迷惑をかけたから償いをしたい
このチャンスを「モーメント」と言います。
ものを売るなら「下準備」が必須!
モーメントの話をする前に、まずは「下準備」の話からさせてください。
下準備やモーメントといった用語は『PRE-SUASION~影響力と説得のための革命的瞬間~』という本に登場します。(以下『プリスエージョン』:下準備という意味の造語)
この本の最大の特徴はやはり、かの有名な『影響力の武器ー第三版ー』の続編という点でしょう。
「下準備」の話に戻しますが、これは「相手が説得を受け入れやすい状況を先に作る」という考え方を指しています。
例えば人に商品を売るとき、ただ商品の良さを説明してもなかなか買ってくれません。
ぼくは営業の研修で同僚に何度か同行させてもらったのですが、だいたいは「考えておきます」なんですね。
なので、この本を熟読したぼくが手伝ってあげました。
同僚が商品のプレゼンをする前に、お客様のお部屋を観察して「自慢に思っていそうな物」を指摘するんです。
これ何ですか!?
という具合に。
するとお客様は自慢話ができて楽しい気分になってきます。この状態で商品を紹介すると「君たちは信用できるからいいよ」と言ってくださるんですね。
パン
結果として成約→同僚の成績になるのですが、こういう知識がない同僚は一言もお礼を言ってくれません。ちなみにぼくは研修中の身でありながらさっそく成約をバンバン上げています。
この辺りの知識や体験談をもっと知りたい方はこちらの記事でどうぞ。テーマは少し違いますが、人を気持ちよくさせる質問のコツを紹介しています。
要するに、人が相手の説得を受け入れるかどうかは直前の状況に強く影響を受けるから下準備は大切だよ、ということです。
「モーメント」は絶好の説得チャンス!
下準備の中で最も強力な説得のチャンス、それが「モーメント」です。
本『プリスエージョン』の著者ロバート・チャルディーニは、この本を書くために大学の一室を借りたそうです。
当時、校長から「至れり尽くせりな部屋を用意できた」という電話を受けて「ありがとうございます!」と全身全霊でお礼を伝えていたら、校長から突然「ここで教鞭をとってくれない?」と依頼されて心理的に断れなかったと書かれています。
この依頼が翌日だったら絶対に断っていた。でも理想的な部屋を用意できたという報せを受けて全力でお礼を伝えているこのタイミングではどうしても断れなかった。
ロバート・チャルディーニが記した感想はこんな感じでした。
つまり、モーメントとは断るに断れない「瞬間的」な状況のことであり、説得者にとってはまさにベスト・タイミングなんですね。
クレーマーは自分からモーメントを提供してくれる
モーメントを作り出すのは簡単ではありません。ロバート・チャルディーニが経験したように「多大な恩義を感じたせいで依頼を断れなかった」というのは、逆に言えば「多大な恩義を感じさせるほどの下準備が必要」ということです。
この点において、クレーマーはまさに「墓穴を掘る」のです。自分の行為が原因となって破滅します。
墓穴を掘る:自分から滅亡の方向に進んで行くことのたとえだそうです。
実際、正しいクレーム対応がたまたまできたときにお客様のほうから
そういえばこういう商品あるらしいけど、紹介してさらない?
と言ってくださったことがあります。
このとき「これがかの有名なモーメントか!」とちょっと感動しました笑
それではどうすればクレーマーからモーメントを引き出せるのか、その方法を紹介していきますね。
クレームをチャンスに変えるクレーム対応のコツ
やることは非常に簡単です。2つだけ覚えておけばモーメントを引き出せますよ。
コツ1:黙って話を聞くだけでOK
本記事を書くにあたり知恵袋を少し覗いたのですが…みなさんからクレーマーにガツンと言ってやりたい気持ちが強く伝わってきました。
あえて紹介はしませんが「どう回答すればクレーマーは押し黙るか」という論点で意見が集まっているんですね。
ぼくがおすすめしたいのは「ほとんど回答しない」です。
その代わりに何をするのか?
とにかく相槌を打ちます。
- はい、はい、ええ…
- ええ、ええ、そうなんですね
- そうですよねぇ~
「話をしっかり聞いてますよ」が伝わる相槌なら何でもOKです。
では、いつまで相槌を打つのか?
クレーマーの「言うことがなくなるまで」です。
クレーマーに意見してはいけない理由
文句を一方的に言い続けるのって実は難しいんです。なぜなら「言うことがなくなってくる」から。
文句を言い続けるためには、文句の弾を装填しなければなりません。それには企業側の「心無い対応」が必要なんです。
なのであなたが意見を口にすると、それが文句の弾になって相手の心に装填されてしまうんですね。
なのでほぼほぼ黙って耳を傾けましょう。相手が落ち着くまで意見はNGです。
コツ2:相手の勘違いしている点を配慮して伝える
相手が落ち着いたら、次にやることは「情報の整理」です。
相手はクレームを通じて「今置かれている状況」をあなたに伝えているはず。それを言葉にしてあげます。
これにより「あなたの状況は理解しました。それでも対応ができず申し訳なく思っています」というメッセージが伝わるんですね。
もしお客様に間違いがあったらそれとなく指摘します。
名著『人を動かす』のテクニックの1つである「自分も同じようなミスをしたことがある」と伝える方法がおすすめです。
「タップしてもタイムラグのせいで何度も押しちゃうことってありますよね。私もワンタイムパスワードが何度も発行されていることに気づかなくて、ログインできなくて困りました」
するとお客様は「自分はちゃんとやっていた!」と言葉では反論しつつも内心は焦ってきます。
クレーム
(あれ?もしかしてそういうこと?)
と。
思い当たるフシがあると思った瞬間、心理はガラッと変わります。
先ほどまでは「このクレームは正当性のあるもの。いわば聖戦だ!」というノリが「ま、まずい!言い過ぎた!」に変わるんですね。
だからこそ、このバツの悪さを誤魔化したくて
クレーム
そういえばこういう商品ってあるんでしょ?この商品ダメだったから、こっちを買ってみるよ
と言ってくださるんです!
お客様の心理をなぞってみた
お伝えしたいことは一応全部書きました。
最後に、お客様の心理がどう変化するのかを描写しますね。
フェーズ1:自分こそが正しい
クレーマーは「自分こそが正しい」と信じています。自分に正当性があると思っているからこそ怒りをぶつけることができるわけですね。
フェーズ2:問題の原因は自分だったかも
クレーマーは自分に非はないと信じていますが、実際はお客様に非があるケースがほとんどだと思います。
仮に企業側に問題があるなら返金処理をすれば済む話です。
そしてクレームを通じてあなたに情報を与えれば与えるほど「それはあなたのミスですよ」となる可能性が上がっていくわけですね。
フェーズ3:声を荒げた分だけバツの悪さを感じる
あなたが十分に配慮した指摘や質問を通じて「もしかしたら自分に非があったかも」という気持ちになります。
フェーズ4:誤魔化したくて購買意欲が大爆発!
あなたに大迷惑をかけた相手は、あなたに対して「償いをしたい」と考えます。そうすることで自分の愚行を誤魔化し、かつ「このクレームはお互いに有意義だった」という結末にしたいのです。
このタイミングで「ご迷惑をおかけしましたね。それでこちらの商品ですが…」と言って勧めると、通常の売り込みよりもはるかに売りやすいんです。
プレゼンやクロージングにもコツはあります。いずれ書くと思います。忘れていなければここにリンクを貼りますね。
まとめ:黙っていればクレーマー→ファンになる!
- クレーマーに非があってもすぐには指摘しないこと
- 文句を言いつくしたら、それとなく指摘する
- 申し訳なさから別の商品に興味を示す
- この瞬間を「モーメント」と言う
本記事で紹介したクレーム対応を実践してみてください。
相手の気持ちに共感しながら傾聴するだけで、最高に売りやすいタイミングがやってきます。
そのタイミングをものにできるかどうかはまた別の話ですが、少なくとも相手に「申し訳ない」と感じさせた時点でファンになりつつありますよ。
もっとしっかり学びたい方は本『プリスエージョン』が気になることでしょう。
でも分厚いし、難しい内容だし、3000円もするので、ぼくの記事を読んで学んでいただければと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました。
よろしければ他の記事も読んでみてください。
今回は以上です。